2015年5月6日水曜日

detune.さん「高嶺の花」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです。ゴールデンウィーク後半、いかがおすごしでしょうか?
今日はdetune.さんの「高嶺の花」のコード進行を解析したいと思います。
これまた希代の名曲です。

高嶺の花

[Intro]
(3/4)F Gm | (2/4)B♭/C | B♭/C

[A]
F B♭m | Em7(♭5) A7 | Dm Bm7(♭5) | B♭ B♭m |
F B♭m | Em7(♭5) A7 | Dm Bm7(♭5) | B♭ F |

[B]
F/E♭    | B♭/D D♭6 | Am Dm | E♭ Dm |
C4 C/B♭| Am Gm7 B♭/C |(2/4)  B♭/C |

[サビ]
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
C C/B♭| F/A A♭| Gm7 B♭Gm7 | C4 C2 A7 |
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
F/A Bm7(♭5) | B♭/C | B♭/C |
B♭ma7 | B♭ma7 B♭m7 |

[間奏]
F B♭m | Em7(♭5) A7 | Dm Bm7(♭5) | B♭(add9) |

[2B]
F/E♭    | B♭/D D♭6 | Am Dm | E♭ Dm |
C4 C/B♭| Am Gm7 B♭/C |(2/4)  B♭/C |

[2サビ]
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
C C/B♭| F/A A♭| Gm7 B♭Gm7 | C4 C2 A7 |
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
F/A Bm7(♭5) | B♭/C | B♭/C |

[間奏2]
B♭ma7 | B♭ma7 | Am9 | Am9 |
B♭m9 | B♭m9 |
C4 C/B♭| Am Gm7 B♭/C |(2/4)  B♭/C |

[3サビ]
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
C C/B♭| F/A A♭| Gm7 B♭Gm7 | C4 C2 A7 |
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
F/A Bm7(♭5) | B♭/C | B♭/C |
B♭ma7 | B♭ma7 |

[Outro]
(3/4)F Gm | (2/4)B♭/C | (3/4) B♭/C | F       |



【ポイント①】
拍数の変則はやはり肝!


これまでも何度も出てきた拍数、つまり4/4とか4/3とか、が変則的になる瞬間がこの曲にもあります。
いきなり頭からです。
基本的には意図的に拍数を変わったものにしてるのではなく、メロディを作った結果そうなっていた、ということがほぼ間違いないと思います。
前回の「sono」もそうでしたが、ここでもシンコペーションが絡んでいてそれが拍数の減少につながっていると思います。ここでは具体的にどういった現象で拍数が変化しているのか、というのは難しい問題で、どの曲でもとても自然に挿入されていることから、メロディの成り立ち、としか言い表せません。
あえていうのであれば、そのメロディの拍数への意識が高い、と言えるかもしれませんね。
加えて、サビ前に入ってくる2/4。これもお馴染みで、ここでもシンコペーションが絡んでおり、変に間延びするのを避けての2/4という感覚はとても郷さんらしいです。

【ポイント②】
C2やC4といった3度省略形


Bの折り返し頭やサビの折り返し地点に出てくるC4やC2はsus4やadd9とも表せますが、あえてこう表記しました。3度を省略し4度や2度を足した形の和音です。
ここでもやはりメロディが先に生まれて、その結果和音もそれに準じた、と考えてよいと思います。いかに郷さんがメロディを先行させて作っているか、がわかります。
作曲において、その和音に気を取られず、メロディを先行させることはとっても重要だと思いますが、その結果ですね。

【ポイント③】
Ⅲm9のサウンド


これは大きなポイントではないですが、間奏2に出てくるAm9はⅢm9ということで、珍しいものです。本来のⅢmはダイアトニック的には9thは使えません。がボサノバやジャズなどではもちろんそういったテンションの拡張は容易に行われていて、ポップスでもその影響によってたまに顔を出します。郷さんはマイナー9thもよく使われていますし、こういったダイアトニックからの逸脱は、郷さんの調性の拡張感覚から言えばらしいものですね。
ちなみにその後、そのまま半音上がってⅣm9へ行っているのも新鮮さが増しています。


さて、その他細いポイント見ていきます。
・BメロのあたまがⅠ/♭Ⅶから始まる珍しいパターン
・同じくBメロ折り返し前のⅥm→♭Ⅶ→Ⅵmという珍しい動き
・サビでのⅤm→Ⅳ→ⅢというⅤmとⅢの調性の距離感
・いっぽうでお馴染みの♭Ⅲやルート下降など

さて、いかがでしたでしょうか?
この曲では目立って新しい手法があるわけでないですが、郷さんらしいメソッドにもとずいた、極めて美しい名曲と思います。サウンドもシンプルながら空間に趣向を凝らしたミックスが素晴らしいですね。

さて、次回はdetune.さんの1stアルバムより「テューズデイズ」、行きます!






2015年4月27日月曜日

detune.「sono」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです。
今日はdetune.さんの2ndアルバムのタイトル曲「sono」のコード進行を解析してみたいと思います!

sono

[intro]
A(omit3) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) Gmaj7(13) | F(omit3, add9)

[A]
A(omit3, add9) | G(omit3, add9) | A(omit3, add9) | G(omit3, add9) |
A(omit3, add9) | G(omit3, add9) | A(omit3, add9) | G(omit3, add9) |
D       |  Gadd9 |

[intro2]
A(omit3, add9) | G(omit3, add9) |

[A']
A(omit3, add9) | G(omit3, add9) | A(omit3, add9) | G(omit3, add9) |
A(omit3, add9) | G(omit3, add9) | A(omit3, add9) | G(omit3, add9) |
D       |  Gadd9 |
A  G  | (3/4) D E | A G | (1/4) D |
A  G  | Dm | Dm |

[サビ]
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G |
F(omit3, add9) | F(omit3, add9) |

[2A]
A(omit3, add9) | G(omit3, add9) | A(omit3, add9) | G(omit3, add9) |
A(omit3, add9) | G(omit3, add9) | A(omit3, add9) | G(omit3, add9) |
D       |  Gadd9 |
A  G  | (3/4) D E | A G | (1/4) D |
A  G  | Dm |

[Bridge]
Ddim7 C#dim | Cdim Bdim |
Bdim A#dim Adim G#dim | G#dim Gdim F#dim Fdim |
F#dim | F#dim |

[サビ]
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G |
F(omit3, add9) |

[outro]
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) E7(omit3, 11) |
A(omit3, add9) G | F(omit3, add9) |


今回パッと見複雑に見えてしまっていますが、omit3が多く逆に音数は少ないです。

【ポイント①】
omit3とadd9の響き!


今回の曲の多くのコードが3度の音を抜いたomit3で、かつ9度の音を足したadd9で構成されているようでした。イントロやAメロはメインのメロやエレピがアルペジオ風のフレーズを弾いていて、その中には3度も含まれていたりはするのですが、基本的にずっと鳴っているわけではないので、omit3としたほうが響きが近いです。
郷さんの曲にはadd9や7thも含む9thコードも含めテンションが入ったコードも結構使われますが、逆に省略する意識もしっかりあるように感じます。
3度を省略すると明暗が曖昧になるというか、透明感、緊張感が出るように思います。

さらに、全編に渡ってエレピのメロやカウンターラインには#11を通過するフレーズがたくさん出て来て、スケールも少しリディアン系のサウンドになっていて、それがまたこの曲のカラーになっています。
特にコードトーンの5→#4→9→1と動くフレーズが印象的です。Fコードの所では、ドシソファと動くフレーズです。

【ポイント②】
リズムの工夫も忘れない!


Bメロ後半にちょっと説明しづらいリズムの工夫があります。
おそらくメロディに合わせた結果こうなった、というものだと思いますが、面白いです。
3/4や1/4を挟んでいるように表記してみました。全体としては拍数は4/4で合う数なのが面白いですね。結果的に帳尻があっている。さらにシンコペーションが沢山入っているので、より複雑です。でもシンプルに聴こえるのが素晴らしいですね。メロディの力です。

【ポイント③】
dim7の平行移動!


dim7というのは平行移動させやすいもので、よくあるものは構成和音と同じく短3度で移動させるのが常套手段ですが、この曲のbridgeでは半音下降でスライドさせて、最後に半音上げる、という力技が使われています。しかしこれがとってもかっこいいですね。後半リズムを変えたり、最後に半音上げることで、しっかり楽曲にとけ込ませています。


3つのポイント以外には、全体としては♭Ⅶや♭Ⅵに当たるG、Fのコードが(omit3、add9を伴っていますが)多用されていて、いつもの郷さんらしい進行です。
それにしてもコードの響きの「園」感とタイトルのsonoがとてもマッチしていますね。

さて次回はdetune.さんの3rd『オワルゼンド』より「高嶺の花」、行ってみたいと思います!

2015年4月9日木曜日

detune.「緑ドリーム」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです。
また少し日が空いてしまいましたが、detune.さんの1stアルバムより「緑ドリーム」のコード進行を解析してみたいと思います!

緑ドリーム
[Intro]
A/B | A/B | A/B | A/B |
A/B | A/B | A/B | A/B |

[A]
C#add9 | Badd9 | Aadd9 | E         |
F#        | E        | A        | B         | B        |

[A' ]
C#add9 | Badd9 | Aadd9 | E         |
F#        | Eadd9  | Aadd9 | G#sus4 G#7 |

[B]
Eadd9  | Gadd9 | F#m7 A/B | E   A   |
E/G#   | F#/A#  | A  E/G# | G   F#m | 

[Intro2]
A/B ×4

[2A]
C#add9 | Badd9 | Aadd9 | E         |
F#        | E        | A        | B         | B        |

[2A' ]
C#add9 | Badd9 | Aadd9 | E         |
F#        | Eadd9  | Aadd9 | G#sus4 G#7 |

[2B]
Eadd9  | Gadd9 | F#m7 A/B | E   A   |
E/G#   | F#/A#  | A  E/G# | G   F#m | A/B      |

[B]
Eadd9  | Gadd9 | F#m7 A/B | E   A   |
E/G#   | F#/A#  | A  E/G# | G   F#m | 
Aadd9 | Aadd9 |

[Outro]
A/B | A/B | A/B | A/B |
A/B | A/B | A/B | A/B |
(N.C.) | (N.C.) |


【ポイント①】
平行調の同主調ももはや同じ庭


Aメロの頭から見てみると、KEY=C#のⅠ→♭Ⅶ→♭Ⅵと見えますし、確かにそうなんですが、そもそも頭のC#をC#mに変えるとKEY=Eですべて収まる形なんですね。つまりここではKEY=C#とKEY=Eを分けて考えるのでなく、KEY=Eからみた平行調のKEY=C#mの同主調のKEY=C#も同じフィールドとして捉えると、とってもすっきりしてきます。
郷さんの和声感覚はこの、他のKEYをも同じフィールドで捉える、というところにあることが分かって来ましたね。
もちろん、イントロのA/BからのC#も同じようにKEY=EからKEY=C#への転調、ではありますが、同じフィールドで捉えることができます。
ちなみにC#がadd9になっていて、かつ3度の音が鳴っていないadd9なので、よりC#mに近いサウンドのため、よりスムーズさが増していると考えられます。
さらにF#のあとのEはメロディが#ラへ行っている事からKEY=EのⅠとしての機能ではなく、KEY=C#の♭Ⅲとして機能していることがわかります。このあたりからもいかに同じフィールド内を自由に行ききしているかが見えてきます。

【ポイント②】
おなじみのadd9と♭Ⅲ


これはもはやここで上げる必要もないくらいの定番ですが、おさらいで。
この曲でも郷さんらしの象徴のadd9と♭Ⅲ、KEY=EのGの和音が使われています。この初期の作品で、既にそれは現れていたんですね。


さて、他にトピック的なことは今回はそんなにないのですが、イントロでⅣ/Ⅴで停留していたり、add9や♭Ⅲ、さらにオンコードなど、郷さん作曲術のポイントがこの初期の楽曲でもしっかりと現れていて、若くして自分の楽曲の構造を作り上げてしまった天才の片鱗がここでも見えますね。もちろん、その後の楽曲をみればさらにそれがブラッシュアップされたことが分かりますが。

それにしても「緑ドリーム」、とはいったいなんのことでしょうか。。

さて、次回はdetune.さんの2ndアルバムより「sono」、行ってみます!


2015年3月18日水曜日

detune.「耳をすませば」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです。
少し間が空いてしまいましたが、今日はdetune.さんの3rdアルバム『オワルゼンド』より、隠れた名曲、「耳をすませば」のコード進行を解析したいと思います!

耳をすませば
(今回からKEYの表示は辞めます。郷さんの楽曲においてKEYの表示はほとんど無意味という結論に至りました。)

[Intro]
Aadd9 Dadd9 | Aadd9 Dadd9 | Aadd9 Dadd9 | E7          |

[A]
Aadd9  | E7       | Aadd9  | C#m7     |
D#m7(♭5) Dmaj7 | C#m7   | Cmaj7 Cmaj7/D | D/E  E7 |

[A']
Aadd9  | E7       | Aadd9  | C#m7     |
D#m7(♭5) Dmaj7 | C#m7   | Cmaj7 Cmaj7/D |(2/4)D/E | E/F#    |

[サビ]
Badd9 C#m7 | D#m7 G#m F#m | E   D#7  | F#m B7sus4 B7 |
Cmaj7    | Cmaj7/D | D/E       | D/E       |
Dmaj7    | Dmaj7    | Dmaj7    | E7        |

[2A]
Aadd9  | E7       | A A/G#  | Gm6  F#aug F# |
D#m7(♭5) Dmaj7 | C#m7   | Cmaj7 Cmaj7/D |(2/4)D/E | E/F#    |

[2サビ]
Badd9 C#m7 | D#m7 G#m F#m | Emaj7   D#7  | F#m B7sus4 B7 |
Cmaj7    | Cmaj7/D | D/E       | D/E       |

[Outro]
Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9  |
Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9  |
Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9  |



【ポイント①】
♭Ⅲmaj7をⅣmaj7へ置き換える転調+スライド式転調!


まずはAメロ後半。
Cmaj7Cmaj7/DD/Eの部分。
郷さんお得意の♭Ⅲが今回はmaj7で登場(Cmaj7)。
それを全音下のKEY=GのⅣmaj7として置き換え、Ⅳ→Ⅳmaj7/Ⅴ(Cmaj7Cmaj7/D)。
さらにⅣmaj7/Ⅴ→Ⅴ/Ⅵ(Cmaj7/DD/E)と全音スライドしてKEY=AのドミナントにあたるD/E、そしてE7へ。これでもとのKEY=Aへ綺麗に戻る。非常に美しすぎる一瞬の転調マジックです。
さらにサビ前A'後半では最後のD/Eからさらに全音スライドしE/F#へ。
これでサビのKEY=Bへ綺麗に転調。これまた美しい。
この転調技、一見簡単そうに見えて、メロディを美しく紡がないと綺麗には聴こえないのです。いかにその的確なメロディを紡いでいるか。そこに感動します。

【ポイント②】
お得意のⅢ7→Ⅴmと連続置き換え転調


さてサビでもいつものテクニックがふんだんに使われています。
まずはD#7F#mとⅢ7→Ⅴmの動き。この動きは結構取り入れやすいので、郷さん風楽曲を目指すのならオススメの一技ですね。
さらにそのVmをⅡmと置き換えKEY=Eのツーファイブ、F#mB7sus4B7と進行。
そしてそこからCmaj7(♭Ⅵmaj)へと進み、それをさらにⅣmaj7に置き換えてKEY=Gへ、と。
もはや置き換えて転調しているとはいえ、書く事すら無駄に思える程の華麗な転調劇。
いよいよ郷さんの転調テクニックは、調性を曖昧にする、一つの進行を多調性的に捉える事の出来る感覚の重要性、だとわかってきました。



【ポイント③】
天才の成せるひと味違った半音下降


2番のサビでは1番とはコードを変える工夫をされています。
AA/G#Gm6F#augF#というところです。
ここ、よくあるパターンでは、
A→A/G#→G6→F#
となるところです。
違いはGm6F#aug。
私的にはここにGm6が使えることが大発見でした。
本来G6でよく使われるのですが、Gm6とマイナーになってもGdim7と近い響きで、成立するのですね。つまり最終的にF#のコードで鳴らされるA#の音を先取りしているのです。
さらにGm6のコードのレの音をステイしてF#augとなる所もポイント。
ちなみに数字で表すと
Ⅰ→Ⅰ/Ⅶ→♭Ⅶm6→Ⅵaug→Ⅵとなりますね。
これは覚えておく価値有りの進行です。


今回の楽曲も郷さんのコードワークの一つの到達点、非常にバランスの良い楽曲でした。さらに新しい発見もあり。そして単純に非常に美しい楽曲。。

さて、細かいトピックを今回も少しだけ。
・これまでの楽曲にはあまりみられなかった、純粋なⅤ7(E7)がAメロで使われています。これがこの楽曲にクラシカルな印象をもたらしています。
・Aメロ後半にさりげない2/4拍子がまたあります。らしいですね。とても自然です。
・イントロについてはほとんどプレーンのコードに聴こえますが、よく聴くとエレピなどでadd9の音が足されていて、それが隠し味としてとても効いています。


いかがでしたでしょうか?アルバムの中の一曲としてはもったいないくらいの、非常に完成度の高い楽曲です。3rd『オワルゼンド』はこのレベルの楽曲がほとんどと思われるので、先々が楽しみです。
また未聴の方はぜひ買って聴いてみてください。損なしです。

さて、次回はdetune.さんの1stアルバム収録、「緑ドリーム」、行ってみたいと思います!





2015年3月4日水曜日

detune.「mybrowser」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです。
今日はdetune.さんの2ndアルバム『sono』より「mybrowser」のコード進行を解析してみたいと思います。
今回からはまた引き続き音源はございません。。みなさんiTunesなりCDなりでご購入を是非!

mybrowser
KEY=G

[Intro]ベースのみ
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[Intro2]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[A]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[Bridge]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[2A]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[B]
Em D#m | Dm7 G | Cmaj9 | Fadd9 |
Em D#m | Dm7 G | Cmaj9 | Fadd9 |

[C]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[3A]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[Bridge2]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[B]
Em D#m | Dm7 G | Cmaj9 | Fadd9 |
Em D#m | Dm7 G | Cmaj9 | Fadd9 |

[2C]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[Outro]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |



【ポイント①】
Bmかと思ったらGmaj7/B?


さて、コードをご覧頂ければ一目瞭然、今回の曲のほとんどの部分がGmaj7/BCmaj7という進行で出来ています。イントロもAメロもブリッジも。
で、このほとんどの部分、一聴するとBm→Cmaj7に聴こえますが、実はエレピが要所要所ソの音を弾いており、さらに途中で入ってくる歌のハモリは上でソの音でハモったり
していてG/B→Cmaj7かと思わせてくるのです。
しかし、ところどころではエレピはやっぱり#ファを弾いていますし、頭から入ってくるディレイするシンセ音は確かに#ファを鳴らしているのです。
そう考えるとGmaj7/B、と表記するのが一番ベストかな、と判断したのですが、しかし実際鍵盤で弾いてみると、それでもあの独特の雰囲気にはならないのですね。本来のGmaj7であれば下のほうでソが鳴って、上の方で#ファが鳴ったりするのですが、この曲では上の方でもソが鳴っていたりして。絶妙にソと#ファを混ぜ込まないと、あの雰囲気にならない。実際に郷さんはこの曲のコード、どうお考えなのでしょう?しかし、これも郷さんマジックですね。

ちなみによく考えるとGmaj7/B→Cmaj7をずっとやっているっている曲ってあんまりないですよね。ふわふわしてます。
モーダルな雰囲気とも言え、ここはKEY=GではなくKEY=Bmでスケールがフリジアンスケール、とも考えられます。


さて、今回はコードの種類が少ないので大きなポイントは一つです。
細かいポイントもありません。。
つまり、この曲はポイント①のあの不思議なコードの響きで成り立っていると行っても過言ではありませんし、あとはアレンジやサウンドが素晴らしさが楽曲クオリティを支えているとも言えますね。


今回はちょっと寂しい更新となりました。
次回はdetune.さんの3retアルバム『オワルゼンド』より「耳をすませば」を行ってみたいと思います!

2015年3月1日日曜日

detune.「終わる全土」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです!
今日はdetune.さんの3rdアルバム『オワルゼンド』より「終わる全土」のコード進行を解析してみたいと思います!
アルバムを締めくくるかっこいいdetune.式EDMサウンド(?)の一曲ですね。
1番までですがsoundcloudにあったので貼っておきます。


終わる全土
KEY=A, F#, B♭, G

[Intro]
A   | A/G  | D/F# | F6   |
A/E | B/D# |
Dmaj9 | Dmaj9 | D/E    | D/E  C#  |

[A]
F#  | F#  | D#m7 |  D#m7 |
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7    | D/E  C#  |
F#  | F#  | D#m7 |  D#m7 |
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7    | D/E    |

[B]
A/C# | B/D# | Dadd9 | Dadd9 |
A/C# | B/D# |
D  A/C#  | C6     | Bm7    | D/E E/F# |

[サビ]
A   | A/G  | D/F# | F6   |
F#m  | E      | D A/C# | Bm7 D/E |
A   | A/G  | D/F# | F6   |
F#m  | E      |
D  C  | Bm7 A6 | G  F  |
E       | E      |        
Dmaj9 | Dmaj9 | Dmaj9 | D/E  C# |

[間奏]
F#  | F#  | D#m7 |  D#m7 |
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7    | D/E    |

[2B]
A/C# | B/D# | Dadd9 | Dadd9 |
A/C# | B/D# |
D  A/C#  | C6     | Bm7    | D/E   |
E♭/F |

[2サビ]
B♭  | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm   | F      | E♭B♭/D | Cm7 E♭/F |
B♭  | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm   | F      | E♭B♭/D | Cm7 E♭/F |
B♭  | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm   | F      |
E♭D♭ | Cm7 B♭6 | A♭G♭ |
F      | F     |

[Bridge]
E♭maj7 | E♭maj7 | F7sus4 | F7          |
E♭maj7 | E♭maj7 | F7sus4 | F7  F#dim7 |
[Bridge2]
Cmaj7    | Cmaj7  | D7sus4  | D7        |
Cmaj7    | Cmaj7  | D7sus4  | D7  D#dim7 |

[Ending]
Em  D   | C B♭6 | Am7 G6 | Fmaj9 |

【ポイント①】
いつも通り冴え渡る転調の妙!


これまでの楽曲解析から、郷さんはいろんな形で転調をされることが分かってきましたが、今回の曲でもとても綺麗に転調をされています。
まずイントロはKEY=Aで始まります。そしてAメロ頭からはKEY=F#へと転調しています。そしてBメロではまたKEY=Aに戻るのです。これが、普通にさらっと聴いていると転調していることに気付かない程の美しさなのです。

イントロからAメロへの転調ではわりと分かりやすくC#(KEY=AにおけるⅢ)を用い、それをKEY=F#のドミナントⅤとして置き換えて転調します。
そして、AメロからBメロへはKEY=F#の♭Ⅵと♭Ⅵ/♭ⅦをKEY=AのⅣとⅣ/Ⅴへと置き換えるDmaj7D/E という進行を用いています。これも非常に美しく、その後BメロはKEY=AとしてA/C#というコードにきれいに移って行きます 。

ほかにも、2Bから2サビへ移る際には半音上がるわかりやすい転調も行われています。基本的なⅣ/Ⅴを半音上げる形での転調です。こういったわかりやすい盛り上げの転調は郷さんには逆に珍しいかもしれませんね。

さらに2サビ後のBridgeからBridge2へ移る際にもKEY=B♭からKEY=Gへの転調が行われます。ここではF#dim7を挟む形で転調が行われていますが、基本的な半音下のdim7からの解決による転調ではなく、わりと強引な短3度下へのスライド式転調と見た方がよいかもしれません。しかし、それでもdim7は転調のスムーズさを増す役割を果たしていると言えると思います。
その後の最後のEndingもそのままKEY=Gで突入し、結果的に最後の歌メロが2回のサビとは違ったキーで歌われる、しかも一番低い、という効果を生んでいます。

【ポイント②】
転調しそうでしない、Ⅳ/Ⅴ→Ⅴ/Ⅵという進行


ポイント①で解説した転調劇ですが、逆に転調しそうなのにしない、という部分があります。
Bメロ最後のD/EE/F#です。ここ、KEY=AのⅣ/Ⅴ→Ⅴ/Ⅵという進行で、普通こういったらⅣ/Ⅴのスライド式転調でKEY=Bへ行く感じなのですが、この曲ではこの部分で転調せず、しれっとKEY=Aのままでサビへ突入しています。これは逆に転調している気がすると言うか、転調しそうでしないというはある意味で裏切りなので効果的かもしれません。いずれにしても面白いです。

【ポイント③】
今回は半音下降でなく全音下降!


郷さんのコード進行の定番のうちの一つにベースが半音ずつ下がる進行というのがありますが、今回の楽曲では半音下降ではなく全音下降が中心になっている箇所があり面白いです。サビの後半部分、DCBm7A6GFEという進行です。
KEY=Aなので数字で表すとⅣ→♭Ⅲ→Ⅱm7→Ⅰ6→♭Ⅶ→♭Ⅵ→Ⅴとなります。
まず2つ目のC、♭Ⅲがポイントですね。これはA/C#と置き換え可能、というか逆にCに置き換えた可能性がありますね。その後のBm7へは半音の下降ですが、それ以降はBm7→A6→G→Fと全音下降が続きます。

ちなみにこの部分、基本的には転調してないと捉えますが、KEY=Dに転調しているとみることも出来ます。そうすると、Ⅰ→♭Ⅶ→Ⅵm→Ⅴ6→Ⅳ→♭Ⅲとなります。実際楽曲を聴くと転調にも近い感じに聴こえます。このあたりの曖昧さこそが郷さんの神髄と思ったりします。

さらにメロディを考慮するとDC(6)Bm7A6GF(6)Eと、このように6が2カ所に加わり、メロディが6thを含んだパターンとして下降していることがわかります。メロディのパターン化で転調、というのも上等のテクニックなので、そこも転調と捉えられる可能性を上げています。
そして、Endingでもこのパターンが使われてこの曲が終わります。


さて、今回も細かいトピックをいくつか。
・以前の記事でも書きましたが、イントロにクラシックで有名なメンデルスゾーンの「春の歌」を引用していますね。そのせいか、イントロはサビの進行から持って来ていることに気付きませんでした。
・Bメロ頭のA/C#→B/D#が KEY=AのⅠ/Ⅲ→Ⅱ/#Ⅳでなかなか特徴的です。
・同じくBメロのC6はKEY=Aの♭Ⅲ6で郷さんおなじみですね。


いかがでしたでしょうか?
今回の楽曲はパートごとに転調をするパターンと、全音下降と、今までとはちょっと違った面が出てきました。楽しかったです。
いろんな楽曲を解析して行けば行く程、解析ではどうにもならない部分こそが、音楽の神髄だと、思えて来ます。細部に向かう程、全体を意識せざるを得なくなってくる気がします。

さてさて、次回はDetune.さんの2ndアルバム『sono』より「mybrowser」行きたいと思っています。もしこの曲のコード進行が気になる、などあればコメント等でリクエストくださいね。


2015年2月22日日曜日

たんきゅんデモクラシー「スクバカゲロウ」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです。
今日はたんきゅんデモクラシーさんの新曲「スクバカゲロウ」のPVが公開になったので、コード進行を早速採ってみたいと思います!
PV、かわいいですね〜。



スクバカゲロウ
KEY=D, F, B♭

[Intro]
D7 | C7 | D7 | C7 |
D7 | C7 | D7 | C7 |

[A]
D7 | C7 | D7 | C7 |
D7 | C7 | D7 | C7 |
D7 | C7 | D7 | C7 |
D7 | C7 | D7 | C7 |

[B]
B♭maj7  Am7 | Gm7 Am7 | B♭maj7 C | C/F F |
Em7 A7 | Dm Bm(♭5) |
E♭maj7 | E♭maj7 |
A♭6 | G7   | F#maj7 | F#maj7 |

[Intro2]
D7 | C7 | D7 | C7 |

[2A]
D7 | C7 | D7 | C7 |
D7 | C7 | D7 | C7 |
D7 | C7 | D7 | C7 |
D7 | C7 | D7 | C7 |

[2B]
B♭maj7  Am7 | Gm7 Am7 | B♭maj7 C | C/F F |
Em7 A7 | Dm Bm(♭5) |
E♭maj7 | E♭maj7 |
A♭6 | G7   | F#maj7 | F#maj7 |
(N.C.) | (N.C.) | (N.C.) | (N.C.) |

[3A]
D7 | C7 | D7 | C7 |
D7 | C7 | D7 | C7 |
 (N.C.) |


今回は曲も構成も短くシンプルですね。
ポイントもシンプルに。

【ポイント①】
Bメロから自然に転調の妙!


さて、曲が短くシンプルでもさすが郷さん、仕掛けてきます!
KEY=DのAメロのあと、BメロからKEY=Fに転調しています。
ここはKEY=Dにおける♭ⅥのB♭maj7をKEY=FのⅣmaj7として置き換えての転調です。
スムーズです。

【ポイント②】
Bメロ後半のE♭maj7→A♭6→G7→F#maj7


さてBメロ後半も仕掛けてきますね。
まずDm→Bm(♭5)とKEY=FではよくあるパターンからのE♭maj7(♭Ⅶmaj7)。
ここではっとさせられます。しかもE♭maj7の上でメロディは9thのファに行っています。
そしてそこからのA♭6→G7→F#maj7。
ここでも転調と捉えることができます。KEY=B♭へ。
E♭maj7をKEY=B♭のⅣmaj7として置き換えてそこから♭Ⅶ6→Ⅵ7→♭Ⅵmaj7です。
ただでさえ転調しているのに、さらにノンダイアトニックコードで珍しい進行なわけです。かなり力技です。
A♭6G7F#maj7はファの音をステイさせてベースを半音ずつ下げているわけです。
この半音ずつ下がる6→7→majのパターンは一般的に他の曲にも使われることがありますが、このBメロ(サビ)の最後に下がって行くパターンは郷さんらしいですね。


さて、細かいトピックも一つだけ。
イントロの1回目のメロの最後の音がC7の7thの音に行っていて特徴的です。

今回は楽曲がとっても短くて、でも癖になるコード進行がちりばめられた郷さんらしい変化球ポップでした☆
たんきゅんデモクラシー、楽しみですね。

次回はsound cloudに音源を見つけたので3rdアルバム『オワルゼンド』より「終わる全土」を行ってみたいと思います!