今日はdetune.さんの「高嶺の花」のコード進行を解析したいと思います。
これまた希代の名曲です。
高嶺の花
[Intro]
(3/4)F Gm | (2/4)B♭/C | B♭/C
[A]
F B♭m | Em7(♭5) A7 | Dm Bm7(♭5) | B♭ B♭m |
F B♭m | Em7(♭5) A7 | Dm Bm7(♭5) | B♭ F |
[B]
F/E♭ | B♭/D D♭6 | Am Dm | E♭ Dm |
C4 C/B♭| Am Gm7 B♭/C |(2/4) B♭/C |
[サビ]
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
C C/B♭| F/A A♭| Gm7 B♭Gm7 | C4 C2 A7 |
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
F/A Bm7(♭5) | B♭/C | B♭/C |
B♭ma7 | B♭ma7 B♭m7 |
[間奏]
F B♭m | Em7(♭5) A7 | Dm Bm7(♭5) | B♭(add9) |
[2B]
F/E♭ | B♭/D D♭6 | Am Dm | E♭ Dm |
C4 C/B♭| Am Gm7 B♭/C |(2/4) B♭/C |
[2サビ]
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
C C/B♭| F/A A♭| Gm7 B♭Gm7 | C4 C2 A7 |
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
F/A Bm7(♭5) | B♭/C | B♭/C |
[間奏2]
B♭ma7 | B♭ma7 | Am9 | Am9 |
B♭m9 | B♭m9 |
C4 C/B♭| Am Gm7 B♭/C |(2/4) B♭/C |
[3サビ]
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
C C/B♭| F/A A♭| Gm7 B♭Gm7 | C4 C2 A7 |
F(add9) Gm7 | Cm B♭A | Dm Dm/C | Bm7(♭5) B♭ma7 |
F/A Bm7(♭5) | B♭/C | B♭/C |
B♭ma7 | B♭ma7 |
(3/4)F Gm | (2/4)B♭/C | (3/4) B♭/C | F |
【ポイント①】
拍数の変則はやはり肝!
これまでも何度も出てきた拍数、つまり4/4とか4/3とか、が変則的になる瞬間がこの曲にもあります。
いきなり頭からです。
基本的には意図的に拍数を変わったものにしてるのではなく、メロディを作った結果そうなっていた、ということがほぼ間違いないと思います。
前回の「sono」もそうでしたが、ここでもシンコペーションが絡んでいてそれが拍数の減少につながっていると思います。ここでは具体的にどういった現象で拍数が変化しているのか、というのは難しい問題で、どの曲でもとても自然に挿入されていることから、メロディの成り立ち、としか言い表せません。
あえていうのであれば、そのメロディの拍数への意識が高い、と言えるかもしれませんね。
加えて、サビ前に入ってくる2/4。これもお馴染みで、ここでもシンコペーションが絡んでおり、変に間延びするのを避けての2/4という感覚はとても郷さんらしいです。
【ポイント②】
C2やC4といった3度省略形
Bの折り返し頭やサビの折り返し地点に出てくるC4やC2はsus4やadd9とも表せますが、あえてこう表記しました。3度を省略し4度や2度を足した形の和音です。
ここでもやはりメロディが先に生まれて、その結果和音もそれに準じた、と考えてよいと思います。いかに郷さんがメロディを先行させて作っているか、がわかります。
作曲において、その和音に気を取られず、メロディを先行させることはとっても重要だと思いますが、その結果ですね。
【ポイント③】
Ⅲm9のサウンド
これは大きなポイントではないですが、間奏2に出てくるAm9はⅢm9ということで、珍しいものです。本来のⅢmはダイアトニック的には9thは使えません。がボサノバやジャズなどではもちろんそういったテンションの拡張は容易に行われていて、ポップスでもその影響によってたまに顔を出します。郷さんはマイナー9thもよく使われていますし、こういったダイアトニックからの逸脱は、郷さんの調性の拡張感覚から言えばらしいものですね。
ちなみにその後、そのまま半音上がってⅣm9へ行っているのも新鮮さが増しています。
さて、その他細いポイント見ていきます。
・BメロのあたまがⅠ/♭Ⅶから始まる珍しいパターン
・同じくBメロ折り返し前のⅥm→♭Ⅶ→Ⅵmという珍しい動き
・サビでのⅤm→Ⅳ→ⅢというⅤmとⅢの調性の距離感
・いっぽうでお馴染みの♭Ⅲやルート下降など
さて、いかがでしたでしょうか?
この曲では目立って新しい手法があるわけでないですが、郷さんらしいメソッドにもとずいた、極めて美しい名曲と思います。サウンドもシンプルながら空間に趣向を凝らしたミックスが素晴らしいですね。
さて、次回はdetune.さんの1stアルバムより「テューズデイズ」、行きます!