今日はdetune.さんの3rdアルバム『オワルゼンド』より「終わる全土」のコード進行を解析してみたいと思います!
アルバムを締めくくるかっこいいdetune.式EDMサウンド(?)の一曲ですね。
1番までですがsoundcloudにあったので貼っておきます。
終わる全土
KEY=A, F#, B♭, G
[Intro]
A | A/G | D/F# | F6 |
A/E | B/D# |
Dmaj9 | Dmaj9 | D/E | D/E C# |
[A]
F# | F# | D#m7 | D#m7 |
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7 | D/E C# |
F# | F# | D#m7 | D#m7 |
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7 | D/E |
[B]
A/C# | B/D# | Dadd9 | Dadd9 |
A/C# | B/D# |
D A/C# | C6 | Bm7 | D/E E/F# |
A | A/G | D/F# | F6 |
F#m | E | D A/C# | Bm7 D/E |
A | A/G | D/F# | F6 |
F#m | E |D C | Bm7 A6 | G F |
E | E |
Dmaj9 | Dmaj9 | Dmaj9 | D/E C# |
[間奏]
F# | F# | D#m7 | D#m7 |[間奏]
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7 | D/E |
[2B]
A/C# | B/D# | Dadd9 | Dadd9 |
A/C# | B/D# |
D A/C# | C6 | Bm7 | D/E |
E♭/F |
[2サビ]
B♭ | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm | F | E♭B♭/D | Cm7 E♭/F |
B♭ | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm | F | E♭B♭/D | Cm7 E♭/F |
B♭ | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm | F |
E♭D♭ | Cm7 B♭6 | A♭G♭ |
F | F |
[Bridge]
E♭maj7 | E♭maj7 | F7sus4 | F7 |
E♭maj7 | E♭maj7 | F7sus4 | F7 F#dim7 |
[Bridge2]
Cmaj7 | Cmaj7 | D7sus4 | D7 |
Cmaj7 | Cmaj7 | D7sus4 | D7 D#dim7 |
[Ending]
Em D | C B♭6 | Am7 G6 | Fmaj9 |
【ポイント①】
いつも通り冴え渡る転調の妙!
これまでの楽曲解析から、郷さんはいろんな形で転調をされることが分かってきましたが、今回の曲でもとても綺麗に転調をされています。
まずイントロはKEY=Aで始まります。そしてAメロ頭からはKEY=F#へと転調しています。そしてBメロではまたKEY=Aに戻るのです。これが、普通にさらっと聴いていると転調していることに気付かない程の美しさなのです。
イントロからAメロへの転調ではわりと分かりやすくC#(KEY=AにおけるⅢ)を用い、それをKEY=F#のドミナントⅤとして置き換えて転調します。
そして、AメロからBメロへはKEY=F#の♭Ⅵと♭Ⅵ/♭ⅦをKEY=AのⅣとⅣ/Ⅴへと置き換えるDmaj7→D/E という進行を用いています。これも非常に美しく、その後BメロはKEY=AとしてA/C#というコードにきれいに移って行きます 。
ほかにも、2Bから2サビへ移る際には半音上がるわかりやすい転調も行われています。基本的なⅣ/Ⅴを半音上げる形での転調です。こういったわかりやすい盛り上げの転調は郷さんには逆に珍しいかもしれませんね。
さらに2サビ後のBridgeからBridge2へ移る際にもKEY=B♭からKEY=Gへの転調が行われます。ここではF#dim7を挟む形で転調が行われていますが、基本的な半音下のdim7からの解決による転調ではなく、わりと強引な短3度下へのスライド式転調と見た方がよいかもしれません。しかし、それでもdim7は転調のスムーズさを増す役割を果たしていると言えると思います。
その後の最後のEndingもそのままKEY=Gで突入し、結果的に最後の歌メロが2回のサビとは違ったキーで歌われる、しかも一番低い、という効果を生んでいます。
【ポイント②】
転調しそうでしない、Ⅳ/Ⅴ→Ⅴ/Ⅵという進行
ポイント①で解説した転調劇ですが、逆に転調しそうなのにしない、という部分があります。
Bメロ最後のD/E→E/F#です。ここ、KEY=AのⅣ/Ⅴ→Ⅴ/Ⅵという進行で、普通こういったらⅣ/Ⅴのスライド式転調でKEY=Bへ行く感じなのですが、この曲ではこの部分で転調せず、しれっとKEY=Aのままでサビへ突入しています。これは逆に転調している気がすると言うか、転調しそうでしないというはある意味で裏切りなので効果的かもしれません。いずれにしても面白いです。
【ポイント③】
今回は半音下降でなく全音下降!
郷さんのコード進行の定番のうちの一つにベースが半音ずつ下がる進行というのがありますが、今回の楽曲では半音下降ではなく全音下降が中心になっている箇所があり面白いです。サビの後半部分、D→C→Bm7→A6→G→F→Eという進行です。
KEY=Aなので数字で表すとⅣ→♭Ⅲ→Ⅱm7→Ⅰ6→♭Ⅶ→♭Ⅵ→Ⅴとなります。
まず2つ目のC、♭Ⅲがポイントですね。これはA/C#と置き換え可能、というか逆にCに置き換えた可能性がありますね。その後のBm7へは半音の下降ですが、それ以降はBm7→A6→G→Fと全音下降が続きます。
ちなみにこの部分、基本的には転調してないと捉えますが、KEY=Dに転調しているとみることも出来ます。そうすると、Ⅰ→♭Ⅶ→Ⅵm→Ⅴ6→Ⅳ→♭Ⅲとなります。実際楽曲を聴くと転調にも近い感じに聴こえます。このあたりの曖昧さこそが郷さんの神髄と思ったりします。
さらにメロディを考慮するとD→C(6)→Bm7→A6→G→F(6)→Eと、このように6が2カ所に加わり、メロディが6thを含んだパターンとして下降していることがわかります。メロディのパターン化で転調、というのも上等のテクニックなので、そこも転調と捉えられる可能性を上げています。
そして、Endingでもこのパターンが使われてこの曲が終わります。
さて、今回も細かいトピックをいくつか。
・以前の記事でも書きましたが、イントロにクラシックで有名なメンデルスゾーンの「春の歌」を引用していますね。そのせいか、イントロはサビの進行から持って来ていることに気付きませんでした。
・Bメロ頭のA/C#→B/D#が KEY=AのⅠ/Ⅲ→Ⅱ/#Ⅳでなかなか特徴的です。
・同じくBメロのC6はKEY=Aの♭Ⅲ6で郷さんおなじみですね。
いかがでしたでしょうか?
今回の楽曲はパートごとに転調をするパターンと、全音下降と、今までとはちょっと違った面が出てきました。楽しかったです。
いろんな楽曲を解析して行けば行く程、解析ではどうにもならない部分こそが、音楽の神髄だと、思えて来ます。細部に向かう程、全体を意識せざるを得なくなってくる気がします。
さてさて、次回はDetune.さんの2ndアルバム『sono』より「mybrowser」行きたいと思っています。もしこの曲のコード進行が気になる、などあればコメント等でリクエストくださいね。
今回の楽曲はパートごとに転調をするパターンと、全音下降と、今までとはちょっと違った面が出てきました。楽しかったです。
いろんな楽曲を解析して行けば行く程、解析ではどうにもならない部分こそが、音楽の神髄だと、思えて来ます。細部に向かう程、全体を意識せざるを得なくなってくる気がします。
さてさて、次回はDetune.さんの2ndアルバム『sono』より「mybrowser」行きたいと思っています。もしこの曲のコード進行が気になる、などあればコメント等でリクエストくださいね。
0 件のコメント:
コメントを投稿