2015年3月18日水曜日

detune.「耳をすませば」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです。
少し間が空いてしまいましたが、今日はdetune.さんの3rdアルバム『オワルゼンド』より、隠れた名曲、「耳をすませば」のコード進行を解析したいと思います!

耳をすませば
(今回からKEYの表示は辞めます。郷さんの楽曲においてKEYの表示はほとんど無意味という結論に至りました。)

[Intro]
Aadd9 Dadd9 | Aadd9 Dadd9 | Aadd9 Dadd9 | E7          |

[A]
Aadd9  | E7       | Aadd9  | C#m7     |
D#m7(♭5) Dmaj7 | C#m7   | Cmaj7 Cmaj7/D | D/E  E7 |

[A']
Aadd9  | E7       | Aadd9  | C#m7     |
D#m7(♭5) Dmaj7 | C#m7   | Cmaj7 Cmaj7/D |(2/4)D/E | E/F#    |

[サビ]
Badd9 C#m7 | D#m7 G#m F#m | E   D#7  | F#m B7sus4 B7 |
Cmaj7    | Cmaj7/D | D/E       | D/E       |
Dmaj7    | Dmaj7    | Dmaj7    | E7        |

[2A]
Aadd9  | E7       | A A/G#  | Gm6  F#aug F# |
D#m7(♭5) Dmaj7 | C#m7   | Cmaj7 Cmaj7/D |(2/4)D/E | E/F#    |

[2サビ]
Badd9 C#m7 | D#m7 G#m F#m | Emaj7   D#7  | F#m B7sus4 B7 |
Cmaj7    | Cmaj7/D | D/E       | D/E       |

[Outro]
Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9  |
Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9  |
Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9    | Dmaj9  |



【ポイント①】
♭Ⅲmaj7をⅣmaj7へ置き換える転調+スライド式転調!


まずはAメロ後半。
Cmaj7Cmaj7/DD/Eの部分。
郷さんお得意の♭Ⅲが今回はmaj7で登場(Cmaj7)。
それを全音下のKEY=GのⅣmaj7として置き換え、Ⅳ→Ⅳmaj7/Ⅴ(Cmaj7Cmaj7/D)。
さらにⅣmaj7/Ⅴ→Ⅴ/Ⅵ(Cmaj7/DD/E)と全音スライドしてKEY=AのドミナントにあたるD/E、そしてE7へ。これでもとのKEY=Aへ綺麗に戻る。非常に美しすぎる一瞬の転調マジックです。
さらにサビ前A'後半では最後のD/Eからさらに全音スライドしE/F#へ。
これでサビのKEY=Bへ綺麗に転調。これまた美しい。
この転調技、一見簡単そうに見えて、メロディを美しく紡がないと綺麗には聴こえないのです。いかにその的確なメロディを紡いでいるか。そこに感動します。

【ポイント②】
お得意のⅢ7→Ⅴmと連続置き換え転調


さてサビでもいつものテクニックがふんだんに使われています。
まずはD#7F#mとⅢ7→Ⅴmの動き。この動きは結構取り入れやすいので、郷さん風楽曲を目指すのならオススメの一技ですね。
さらにそのVmをⅡmと置き換えKEY=Eのツーファイブ、F#mB7sus4B7と進行。
そしてそこからCmaj7(♭Ⅵmaj)へと進み、それをさらにⅣmaj7に置き換えてKEY=Gへ、と。
もはや置き換えて転調しているとはいえ、書く事すら無駄に思える程の華麗な転調劇。
いよいよ郷さんの転調テクニックは、調性を曖昧にする、一つの進行を多調性的に捉える事の出来る感覚の重要性、だとわかってきました。



【ポイント③】
天才の成せるひと味違った半音下降


2番のサビでは1番とはコードを変える工夫をされています。
AA/G#Gm6F#augF#というところです。
ここ、よくあるパターンでは、
A→A/G#→G6→F#
となるところです。
違いはGm6F#aug。
私的にはここにGm6が使えることが大発見でした。
本来G6でよく使われるのですが、Gm6とマイナーになってもGdim7と近い響きで、成立するのですね。つまり最終的にF#のコードで鳴らされるA#の音を先取りしているのです。
さらにGm6のコードのレの音をステイしてF#augとなる所もポイント。
ちなみに数字で表すと
Ⅰ→Ⅰ/Ⅶ→♭Ⅶm6→Ⅵaug→Ⅵとなりますね。
これは覚えておく価値有りの進行です。


今回の楽曲も郷さんのコードワークの一つの到達点、非常にバランスの良い楽曲でした。さらに新しい発見もあり。そして単純に非常に美しい楽曲。。

さて、細かいトピックを今回も少しだけ。
・これまでの楽曲にはあまりみられなかった、純粋なⅤ7(E7)がAメロで使われています。これがこの楽曲にクラシカルな印象をもたらしています。
・Aメロ後半にさりげない2/4拍子がまたあります。らしいですね。とても自然です。
・イントロについてはほとんどプレーンのコードに聴こえますが、よく聴くとエレピなどでadd9の音が足されていて、それが隠し味としてとても効いています。


いかがでしたでしょうか?アルバムの中の一曲としてはもったいないくらいの、非常に完成度の高い楽曲です。3rd『オワルゼンド』はこのレベルの楽曲がほとんどと思われるので、先々が楽しみです。
また未聴の方はぜひ買って聴いてみてください。損なしです。

さて、次回はdetune.さんの1stアルバム収録、「緑ドリーム」、行ってみたいと思います!





2015年3月4日水曜日

detune.「mybrowser」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです。
今日はdetune.さんの2ndアルバム『sono』より「mybrowser」のコード進行を解析してみたいと思います。
今回からはまた引き続き音源はございません。。みなさんiTunesなりCDなりでご購入を是非!

mybrowser
KEY=G

[Intro]ベースのみ
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[Intro2]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[A]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[Bridge]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[2A]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[B]
Em D#m | Dm7 G | Cmaj9 | Fadd9 |
Em D#m | Dm7 G | Cmaj9 | Fadd9 |

[C]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[3A]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[Bridge2]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[B]
Em D#m | Dm7 G | Cmaj9 | Fadd9 |
Em D#m | Dm7 G | Cmaj9 | Fadd9 |

[2C]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |

[Outro]
Gmaj7/B | Cmaj7 | Gmaj7/B | Cmaj7 |



【ポイント①】
Bmかと思ったらGmaj7/B?


さて、コードをご覧頂ければ一目瞭然、今回の曲のほとんどの部分がGmaj7/BCmaj7という進行で出来ています。イントロもAメロもブリッジも。
で、このほとんどの部分、一聴するとBm→Cmaj7に聴こえますが、実はエレピが要所要所ソの音を弾いており、さらに途中で入ってくる歌のハモリは上でソの音でハモったり
していてG/B→Cmaj7かと思わせてくるのです。
しかし、ところどころではエレピはやっぱり#ファを弾いていますし、頭から入ってくるディレイするシンセ音は確かに#ファを鳴らしているのです。
そう考えるとGmaj7/B、と表記するのが一番ベストかな、と判断したのですが、しかし実際鍵盤で弾いてみると、それでもあの独特の雰囲気にはならないのですね。本来のGmaj7であれば下のほうでソが鳴って、上の方で#ファが鳴ったりするのですが、この曲では上の方でもソが鳴っていたりして。絶妙にソと#ファを混ぜ込まないと、あの雰囲気にならない。実際に郷さんはこの曲のコード、どうお考えなのでしょう?しかし、これも郷さんマジックですね。

ちなみによく考えるとGmaj7/B→Cmaj7をずっとやっているっている曲ってあんまりないですよね。ふわふわしてます。
モーダルな雰囲気とも言え、ここはKEY=GではなくKEY=Bmでスケールがフリジアンスケール、とも考えられます。


さて、今回はコードの種類が少ないので大きなポイントは一つです。
細かいポイントもありません。。
つまり、この曲はポイント①のあの不思議なコードの響きで成り立っていると行っても過言ではありませんし、あとはアレンジやサウンドが素晴らしさが楽曲クオリティを支えているとも言えますね。


今回はちょっと寂しい更新となりました。
次回はdetune.さんの3retアルバム『オワルゼンド』より「耳をすませば」を行ってみたいと思います!

2015年3月1日日曜日

detune.「終わる全土」コード進行☆

こんにちは、ふるりらです!
今日はdetune.さんの3rdアルバム『オワルゼンド』より「終わる全土」のコード進行を解析してみたいと思います!
アルバムを締めくくるかっこいいdetune.式EDMサウンド(?)の一曲ですね。
1番までですがsoundcloudにあったので貼っておきます。


終わる全土
KEY=A, F#, B♭, G

[Intro]
A   | A/G  | D/F# | F6   |
A/E | B/D# |
Dmaj9 | Dmaj9 | D/E    | D/E  C#  |

[A]
F#  | F#  | D#m7 |  D#m7 |
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7    | D/E  C#  |
F#  | F#  | D#m7 |  D#m7 |
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7    | D/E    |

[B]
A/C# | B/D# | Dadd9 | Dadd9 |
A/C# | B/D# |
D  A/C#  | C6     | Bm7    | D/E E/F# |

[サビ]
A   | A/G  | D/F# | F6   |
F#m  | E      | D A/C# | Bm7 D/E |
A   | A/G  | D/F# | F6   |
F#m  | E      |
D  C  | Bm7 A6 | G  F  |
E       | E      |        
Dmaj9 | Dmaj9 | Dmaj9 | D/E  C# |

[間奏]
F#  | F#  | D#m7 |  D#m7 |
Bmaj9 | Bmaj9 | Dmaj7    | D/E    |

[2B]
A/C# | B/D# | Dadd9 | Dadd9 |
A/C# | B/D# |
D  A/C#  | C6     | Bm7    | D/E   |
E♭/F |

[2サビ]
B♭  | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm   | F      | E♭B♭/D | Cm7 E♭/F |
B♭  | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm   | F      | E♭B♭/D | Cm7 E♭/F |
B♭  | B♭/A♭| E♭/G G♭6 |
Gm   | F      |
E♭D♭ | Cm7 B♭6 | A♭G♭ |
F      | F     |

[Bridge]
E♭maj7 | E♭maj7 | F7sus4 | F7          |
E♭maj7 | E♭maj7 | F7sus4 | F7  F#dim7 |
[Bridge2]
Cmaj7    | Cmaj7  | D7sus4  | D7        |
Cmaj7    | Cmaj7  | D7sus4  | D7  D#dim7 |

[Ending]
Em  D   | C B♭6 | Am7 G6 | Fmaj9 |

【ポイント①】
いつも通り冴え渡る転調の妙!


これまでの楽曲解析から、郷さんはいろんな形で転調をされることが分かってきましたが、今回の曲でもとても綺麗に転調をされています。
まずイントロはKEY=Aで始まります。そしてAメロ頭からはKEY=F#へと転調しています。そしてBメロではまたKEY=Aに戻るのです。これが、普通にさらっと聴いていると転調していることに気付かない程の美しさなのです。

イントロからAメロへの転調ではわりと分かりやすくC#(KEY=AにおけるⅢ)を用い、それをKEY=F#のドミナントⅤとして置き換えて転調します。
そして、AメロからBメロへはKEY=F#の♭Ⅵと♭Ⅵ/♭ⅦをKEY=AのⅣとⅣ/Ⅴへと置き換えるDmaj7D/E という進行を用いています。これも非常に美しく、その後BメロはKEY=AとしてA/C#というコードにきれいに移って行きます 。

ほかにも、2Bから2サビへ移る際には半音上がるわかりやすい転調も行われています。基本的なⅣ/Ⅴを半音上げる形での転調です。こういったわかりやすい盛り上げの転調は郷さんには逆に珍しいかもしれませんね。

さらに2サビ後のBridgeからBridge2へ移る際にもKEY=B♭からKEY=Gへの転調が行われます。ここではF#dim7を挟む形で転調が行われていますが、基本的な半音下のdim7からの解決による転調ではなく、わりと強引な短3度下へのスライド式転調と見た方がよいかもしれません。しかし、それでもdim7は転調のスムーズさを増す役割を果たしていると言えると思います。
その後の最後のEndingもそのままKEY=Gで突入し、結果的に最後の歌メロが2回のサビとは違ったキーで歌われる、しかも一番低い、という効果を生んでいます。

【ポイント②】
転調しそうでしない、Ⅳ/Ⅴ→Ⅴ/Ⅵという進行


ポイント①で解説した転調劇ですが、逆に転調しそうなのにしない、という部分があります。
Bメロ最後のD/EE/F#です。ここ、KEY=AのⅣ/Ⅴ→Ⅴ/Ⅵという進行で、普通こういったらⅣ/Ⅴのスライド式転調でKEY=Bへ行く感じなのですが、この曲ではこの部分で転調せず、しれっとKEY=Aのままでサビへ突入しています。これは逆に転調している気がすると言うか、転調しそうでしないというはある意味で裏切りなので効果的かもしれません。いずれにしても面白いです。

【ポイント③】
今回は半音下降でなく全音下降!


郷さんのコード進行の定番のうちの一つにベースが半音ずつ下がる進行というのがありますが、今回の楽曲では半音下降ではなく全音下降が中心になっている箇所があり面白いです。サビの後半部分、DCBm7A6GFEという進行です。
KEY=Aなので数字で表すとⅣ→♭Ⅲ→Ⅱm7→Ⅰ6→♭Ⅶ→♭Ⅵ→Ⅴとなります。
まず2つ目のC、♭Ⅲがポイントですね。これはA/C#と置き換え可能、というか逆にCに置き換えた可能性がありますね。その後のBm7へは半音の下降ですが、それ以降はBm7→A6→G→Fと全音下降が続きます。

ちなみにこの部分、基本的には転調してないと捉えますが、KEY=Dに転調しているとみることも出来ます。そうすると、Ⅰ→♭Ⅶ→Ⅵm→Ⅴ6→Ⅳ→♭Ⅲとなります。実際楽曲を聴くと転調にも近い感じに聴こえます。このあたりの曖昧さこそが郷さんの神髄と思ったりします。

さらにメロディを考慮するとDC(6)Bm7A6GF(6)Eと、このように6が2カ所に加わり、メロディが6thを含んだパターンとして下降していることがわかります。メロディのパターン化で転調、というのも上等のテクニックなので、そこも転調と捉えられる可能性を上げています。
そして、Endingでもこのパターンが使われてこの曲が終わります。


さて、今回も細かいトピックをいくつか。
・以前の記事でも書きましたが、イントロにクラシックで有名なメンデルスゾーンの「春の歌」を引用していますね。そのせいか、イントロはサビの進行から持って来ていることに気付きませんでした。
・Bメロ頭のA/C#→B/D#が KEY=AのⅠ/Ⅲ→Ⅱ/#Ⅳでなかなか特徴的です。
・同じくBメロのC6はKEY=Aの♭Ⅲ6で郷さんおなじみですね。


いかがでしたでしょうか?
今回の楽曲はパートごとに転調をするパターンと、全音下降と、今までとはちょっと違った面が出てきました。楽しかったです。
いろんな楽曲を解析して行けば行く程、解析ではどうにもならない部分こそが、音楽の神髄だと、思えて来ます。細部に向かう程、全体を意識せざるを得なくなってくる気がします。

さてさて、次回はDetune.さんの2ndアルバム『sono』より「mybrowser」行きたいと思っています。もしこの曲のコード進行が気になる、などあればコメント等でリクエストくださいね。