今日はPeeping Lifeのテーマソングでdetune.さんの代表曲「さとりのしょ」の
コード進行を解析してみたいと思います。
素晴らしいアニメーションPVとともに楽しみつつ、
ねじれたコードを堪能あれ☆
さとりのしょ
KEY=?
[intro]
A | A |
[A]
B♭add9 | B♭add9 | A | A |
B♭add9 | B♭add9 | A |
B♭(add9) | A♭(add9) | F(7) |
B♭ A♭ | Gm G |
[サビ]
F C | A♭ C | F C | E Am |
Fm C |
A♭maj7 | A♭maj7 | B♭add9 | B♭add9 |
A♭maj7 | A♭maj7 | Gm7 | Gm7 |
A | A |
A | A |
[サビ']
C D | E | C D | E |
[2A]
B♭add9 | B♭add9 | A | A |
B♭add9 | B♭add9 | A |
B♭(add9) | A♭(add9) | F(7) |
B♭ A♭ | Gm G |
[2サビ]
F C | A♭ C | F C | E Am |
Fm C |
A♭maj7 | A♭maj7 | B♭add9 | B♭add9 |
A♭maj7 | A♭maj7 | Gm7 | Gm7 |
A | A |
[2サビ']
A | A |
[2サビ']
C D | E | C D | E |
C D | E | C D | E |
E |C D | E | C D | E |
[間奏]
F C | A♭ C | F C | E |
[3サビ]
F C | A♭ C | F C | E Am |
F C | A♭ C | E Am | Fm C |
A♭maj7 | A♭maj7 | B♭add9 | B♭add9 |
A♭maj7 | A♭maj7 | Gm7 | Gm7 |
A♭maj7 | A♭maj7 | Gm7 | Gm7 |
(前8小節を4回繰り返し)
A♭maj7 〜
今回は一見シンプルに見えますが、前回の「ムシバメルモノ」以上に入り組んだコードワークです。今回は曖昧なところが多く、、そして拡大解釈を含んでいます。ご了承☆
【ポイント①】転調の嵐!調性の曖昧な進行が目白押し!わかんないよ!
まずAメロの頭から謎ですね。
イントロはA一発で始まって、Aメロ頭でいきなりB♭add9!
半音上のコード。
半音上のコード。
この時点で調性が曖昧です。
B♭add9の上でギターが一瞬Eの音を奏でていて、推測するにスケールはB♭リディアン。
とすると、無理矢理に解釈するとここはKEY=F、もしくはKEY=Cとすることが出来ます。
そうするとB♭add9→Amという進行の変形としてのB♭add9→A、という解釈が出てきます!ほえー☆当然、Aに行った時点でKEYはAになっていますので、一瞬で転調している!
と、いう考え方も出来ますが、ここはKEY=Aの一時転調、B♭add9は♭Ⅱと考える方が自然かもしれませんね。いずれにせよ、極めて不思議な進行にも関わらずなんとも自然に聴こえていることのほうが、恐ろしい事態なのかもしれません。
さて、その後AメロはB♭(add9)→A♭(add9)→ F(7) という進行をします。
この時点ですでにKEYはAでは完全になくなっています。
ここでもB♭(add9)の上で、今度はヴォーカルのメロディがEを通過していることから、
B♭(add9)の時点ではまだKEY=FもしくはKEY=Cと言えるかもしれません。
がその後、A♭(add9)→ Fと進行した時点で、Eはフラットしています。
Fの上でメロディがE♭の音へ行っているのです。とすると、このFはF7と解釈できます。
とここから先は3つのKEYの可能性を考えてみました。
まずこのF7をKEY=E♭のⅡ7と考えるパターン。
そうすると、Aメロ終わりまでは転調無しのKEY=E♭、と考えることが出来ます。(Ⅱ7→Ⅴ→Ⅳ→Ⅲm→Ⅲ)
そして、もう一つはこのF7をドミナントと考えるパターン。
そうすると、今度はAメロ終わりまではKEY=B♭、と考えることができます。(Ⅴ7→Ⅰ→♭Ⅶ→Ⅵm→Ⅵ)
さらに、もう一つはそもそもB♭(add9)→A♭(add9)→ F(7) の時点からKEY=Cになっていて、
♭Ⅶ→♭Ⅵ→Ⅳ7→♭Ⅶ→♭Ⅵ→Ⅴm→Ⅴだと考えるパターン。
このパターンはF7がブルースコードのⅣ7ということと、Ⅴmの存在が説明しにくいところがあるので結構無理があります。が、KEY=Cと考えると前後の辻褄が妙に合ってくるところがあります。
むむむ☆みなさまいかがでしょうか??(* *)
さて、この時点で随分ないろんな拡大解釈をしていますが、サビでまた転調します(*^*)
Aメロ終わりでのGをドミナントとして、KEY=Cへの転調です!(さっきのパターンで3つ目のKEY=Cだと考えると転調していないことになるのです。)
ここでのKEY=Cの中でのA♭がこの曲の強烈なインパクトになっていますね。
サビ後半のA♭maj7 以降は、B♭の上でもEの音はフラットしているので、KEY=E♭と考えられます。(つまり転調してますね。。あっさりと。。何度目の転調でしょうか。。)
そしてサビラストでAに行って。もう。。KEY=Aに戻る転調。。涙が。。
さらにサビ’ではC→D→Eとなり、メロディからKEY=Gと考えられます。参りました。
そしてAメロのB♭add9 が鳴って。転調。
と。素晴らしい数々の転調マジックが仕掛けられています。
にもかかわらず、前述したように、美しい程に自然なのが、
まさに天才のなせる技なのですね。
むしろこれは調の枠を外して作られているような感じ。
それが郷さんマジック。
「転調してどこいった〜、謎だ♪」
【ポイント②】
小節数が半端!わかんない!
前回の「ムシバメルモノ」では一カ所2/4拍子が出て来て、
自然と短い部分が出来ていました。
今回も時間軸が乱れています。
まずAメロが4+3+3+2という小節数で成り立っています。
2段目の3小節は1小節の短縮として、
残りの3小節と2小節の成り立ちが謎です。
もうわかりません。しかし全部足すと12小節、と4の倍数に収まっている美しさ☆
そして、サビでは4+1+8+2。
この1小節で終わって、前半を繰り返さずに新しいパートに移る意外性。
素晴らしいです。ちなみにこの1小節のFmの上でメロディが♭Eに行っていて、
次の転調先への布石となっているのです。
さらにエンディングに向けては、この細かい小節数変化を裏切るかのように、
同じ8小節を5度繰り返すのです。そこがまた魅力的ですね。バランス感覚。
さて、この曲メインのポイント①である転調でかなりの部分の解釈を書いてしまいましたが、残った細かいトピックを今回もあげておきます。
・イントロとAメロのコードAの部分ではギターのリフが7thを絡んでいるので、
A7とも言える。
・サビ頭のFのコードの2拍目で、なにかで7thが鳴っているように聴こえる。
これが以外に隠し味になっている。(さとりのしょ-さとremix-を聞いていたらシンセホーンのような音のE♭→Eというフレーズが。これがここで鳴っていると思われます☆)
・3サビの5小節目以降は今度は前半を繰り返して、さらにコードをひねっている。
いかかでしたか?
この曲、世界的に見ても稀な存在だと思います。
こんな曲ありません。郷さんの曲群の中でも、
ひと際異彩を放っていることが、今回わかりました☆
名曲には・解き明かせない・謎がある。
次回はアルバム『オワルゼンド』から「紙芝居」、行ってみたいと思います〜!
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